うちの次男は相撲が大好き。
小学校でも仲間と相撲をとって遊んでいるようです。
身長は平均よりやや大きめですが、細身の体形。
それにもかかわらず、負け知らずのようです。
それもそのはず、次男は自分と2.5倍も体重差のある8歳上の兄と相撲の特訓をしているのですから。
二人とも相撲部とか相撲教室とかに所属しているわけではありません。
全くの素人です。
いやいや、全くの相撲好きの素人です。
兄は相撲の巡業が近くに来ると祖父と共にチケットを取り、観戦に行きます。
巡業では、写真撮影やサインをもらえるため、年々コレクションが増えています。
最近では、相撲カードとやらを購入していました。
そこにサインを貰うのだとか。
次男はもっぱら相撲を取りたい方です。
相撲カードに興味はありません。
兄が持っていればそれでよいのです。
時々見せてもらえれば満足できるタイプでコレクションより実践です。
最近はめっきり兄に構ってもらえなくなりましたが、よく公園へ出かけて二人で相撲を取っていました。コテンコテンにやられても、なお向かっていく姿に母はいつも感動します。
けれど、母は次男のお相手はできません。
骨折や怪我のリスクがあるからです。
そのくらい、メキメキと強くなりました。
それでも、相撲クラブなどに入るとは言いません。
ただ、好きなのです。
4月の中旬、小学校で相撲大会のポスターを見た次男は、「6月に相撲大会があるんだけれど、連れて行ってもらえる?参加したいんだ。」と言いました。
彼から何かを頼まれることはあまりありません。
いつも遠慮がちな子ですので、彼から頼まれたときは出来る限り叶えてあげたいと思っています。少しでも迷う素振りや困った素振りを見せると諦めてしまうからです。
「いいんじゃない。参加してみようか。」と私は即答しました。
しかし、その大会、確かに誰でも参加可能ですが、ちょっと本格的な大会でした。私は躊躇し、近くで別の大会がないか調べてみました。
ありました。
すぐ近くで。
ちびっこ相撲大会が。
ただ、その日はどうしても仕事を休めなかったため、どうしようかと考え込んでいると、いました、いました、彼を連れて行ってくれる適任者が。
私は長女の存在を思い出しました。
大会当日はまだ彼女が帰省中です。
その日、アパートへ戻っていく日だったのです。
早速、当日のスケジュールを勝手に送り付け、相撲大会の後、そのまま新幹線で帰るのはどうか、と提案しました。
彼女は必ず承諾してくれると確信していました。
案の定、可愛い弟のため、彼女は快く承諾してくれました。
当日は二人でバスに乗って早めに会場へ向かい、受付をしました(ここまでお膳立てしたのに、母が受付期限を忘れ、当日の受付になってしまったのです)。
保育園児から参加できるちびっこ相撲大会です。
5年生の次男はかなり遅めの出番です。
長らく待った後、いよいよ、5年生の番になりました。
彼は自信に満ち溢れ、堂々と相手に向かっていきました(母は動画で後から見たのですが)。
相手は彼より大きく、体重もありました。それでも、負けていません。体をあっちに回し、こっちに回し、押したり、押されたり。
結果は負けでした。
土俵から次男の足が少し出てしまったのです。
帰ってきた彼は「負けちゃった。」とだけ言いました。
分かっていました、涙をこらえているのを。
「泣いていいんだよ、悔しかったでしょう?」
そう声をかけると、彼の目は見る見るうちに赤くなり、涙がポタポタと落ちました。
「悔しかった。」絞り出すような声でした。
帰りもずっと泣くのを我慢していたのでしょう。
泣いた後、彼は言いました。
「また来年も挑戦したい!」
逞しい彼の姿に成長を感じた一日でした。
…母は後から考えました。
これって思いつきで参加したイベントよねぇ。
「楽しかった」で終わって良かったんじゃないの?
それよりも3年間続けている空手の試合で負けた時にもっと悔しがって欲しい!
(母の心の中の叫びです。)