久しぶりに祖母に会いに行った。
今年101歳になる祖母は祖父が亡くなってから20年近くずっと一人暮らしをしている。
耳は大分遠くなったが、自分の身の回りの事は自分でやり、週2回は娘達が交代で様子を見に寄る。
ちょうど母が泊まりで祖母の家に行っていたので、私も子供達を連れて、久しぶりに祖母に会いに行った。
みんなでこたつを囲み、お茶を啜る。
孫は9人ひ孫は19人。
孫の名前までは覚えているが、さすがにひ孫は難しい。うちの子供達も数え切れないほど何度も会っているが、祖母に会う時は自己紹介から始まる。
祖母はいつも決まっていう。
「もういいわ。
十分。
いつも仏様にお願いしてる。
早く迎えに来てって。」
その横で母が言う。
「私は100歳までは生きたくないわー」
ガハハと笑いながら。
実の娘だから許されるのか。
祖母の耳に届いてないからいいのか。
そもそもその話題すら冗談になるのか。
「大丈夫、お母さんも100歳まで生きるよ、絶対!」
と太鼓判を押してあげた。
長く生きるって大変だ。
私が働き始めた頃、時々祖母の顔を見に寄ると大抵3、4人は近所の友達が遊びに来ていた。
それが、2人になり、1人になり、今はいない。
大切なものはどんどん失っていく。
祖父も友人も若さも。
でも、一つ祖母に残っているものがある。
気力だ。
もういいと言いながらも
ご飯は美味しく食べている。
お肉も大好き。
ちょっと痛いところがあったり具合わるいところがあれば、病院にかかる。
メンテナンスはバッチリだ。
そして、暖かくなってくると庭に出て草むしりが始まる。
(我が家の庭は祖母には絶対に見せられない。)
今年もまた春がやって来て祖母は頭に手拭いを巻き、外に出る。
また来るね。
私も祖母に会える楽しみがある。
そっとその幸せを噛みしめる。