今日は男性群が3人で温泉へ出かけた。
彼らがそっくり3人いない日は珍しい。
温泉と言っても近場でちょっと温泉に入って牛乳を飲んで帰ってくるだけ。
それでもそんな時間は貴重だ。
折角なので、帰省中の長女とお茶を飲みながらの女子トークを楽しんだ。
今回のテーマは彼女が読んでいる本についてだった。
長女は小学校2年生から本に取り憑かれたように読書にハマっていた。
「楽しむ」というよりも、「取り憑かれたように」という表現が合っているくらいにどっぷりと本の世界にハマっていた彼女は図書館の常連となり、あらゆるジャンルの本を読み尽くした。
学校ではもちろん、家に帰ってからもずっと本を読み続けた彼女。
読み始めるとその世界の住人となってしまうため、こちらの声は届かず、私が家に帰ると、薄暗い中にいて何度も注意した記憶がある。
学校では休み時間がすべて読書に費やされるため、友達と遊ぶということもなく過ごしたようだ。
後からクラスメイトのお母さんに聞いた話では長女は「別格の女王」と呼ばれていたらしい。
そんな彼女だが、そこそこ勉強ができ、何事も卒なくこなしたため、6年生の時には児童会長に推薦された。
目立つことは好きでは無かったが、他の人がなかなか選出されなかった事と揉める事が面倒臭い等の理由で引き受けていた。
あの頃が彼女のしっかり者のピークだったように思う。今では、こちら側(おとぼけママとおとぼけ次男)に来ている彼女だ。この頃は忘れ物も多いらしい。
高校生の時はあまり本を読まなかったが、最近はまた読み始めたようだ。
そしてこの頃は自分の読んでいる本の内容を教えてくれたり、私が好きそうな本をチョイスしてくれる。
私も読書が大好きだったが、ある時本を読む事をやめた。
本の世界にハマり過ぎて家事が全然できなくなるからだ。
いつか時間ができたら読もうと思っていたのだが、今では老眼鏡とお友達になり、細かい字がめっきり苦手になってしまった。
そこで彼女は私に短編で読みやすい本を紹介してくれた。彼女が勧めてくれた本は「うつくしが丘の不幸の家」という本だった。
私が彼女に勧めてもらう本には条件がある。
・途中でやめられる本だけど、読み応えのある本
・読んだ後落ち込まない本
本でもドラマでも映画でもハッピーエンドかどうか聞いてしまう私に妹たちはいつも呆れて「それ聞いてどうするの?」と言う。
せっかく読んだり、見たりするならハッピーエンドがいい。
とそこは譲らない。
不幸の家は確かに一つ一つが小さな物語となっている。そしてそれが全体の物語となっている本であった。とても読みやくす、最後にはジーンと感動が残った。
さすが長女、母の好みを分かっている!!
そして今回の本は「傲慢と善良」というタイトル。
細かい字で書かれた解説まで入れて500ページ以上に及ぶその文庫本を見るとどうしても手が伸びないが、彼女が解説してくれるので、内容だけは知る事ができた。
要約すると婚活の話らしい(要約し過ぎか?)。
その本を途中まで読んだ彼女は自分の将来を考えたようだ。
彼氏はいない。
誰かとずっといると疲れるから今はいらない。
でも、将来、孤独死は嫌だ。
だから結婚はしたい。
これは高校時代から一貫して変わらない彼女の想いだ。
婚活の内容の書籍はこの頃多いと彼女は言う。
多くの人の関心事なのだろう。
「まずは恋してみたら?」
と思わず言ってしまったが、恋しようと思って恋ができるはずもない。
そんな話をしたら、
「今は恋しなくても楽しめる事がたくさんある。」
と返ってきた。
「デート代払うくらいなら推しにお金をかけたい」
彼女の友人も言っているらしい。
デジタルネイティブ世代の子供達。
昔より推しも近い存在。
推しに恋するっているものありなのかもしれない。
でも、結婚は現実。
本を通して改めて登場人物と自分を照らし合わせたようだった。
最近はあえて自分の興味からそれたものを選ぶこともあるという。
そこから色々な現状や想いを学んでいる。
ドアを開ける音と共に騒がしい兄弟の声が聞こえ、あっという間に楽しい女子トークの時間が終了した。
また次の機会に彼女の声に耳を傾けたい。